九条俳句掲載へ、ねばり強い運動の成果!

kyutono9

2019年01月29日 16:24

  九条俳句掲載へ、ねばり強い運動の成果!

  杉浦公昭

 「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」。

 九条俳句掲載へ 運動実る 「忖度政治」跳ね返した(埼玉県・藤中陽美FB 投稿記事より)

 2019年1月28日しんぶん赤旗より
 【作者と市民が粘り、党市議団も追及】

 さいたま市大宮区の三橋(みはし)公民館から、 公民館だよりへの掲載を拒否され続けていたこの俳句を、同市は昨年末、ついに掲載すると発表しました。俳句作者と市民、学者・研究者らの粘り強い運動が、市を動かしました。  俳句掲載は、作者の女性(78)が市に俳句掲載を求めて起こした裁判で、「俳句不掲載は違法」とした東京高裁の判決が確定したことを受けて、細田真由美教育長が2018年12月25日、定例会見で発表。作者の女性らが同日提出した申し入れ書への回答では、俳句を掲載するとともに、高裁判決が確定したことを「真摯(しんし)に受け止め、原告に対して謝罪いたします」としています。

 作者の女性がこの俳句を詠んだのは、14年6月。当時、国政では日本を海外で戦争する国にするための集団的自衛権の行使容認が問題となっており、東京都中央区の銀座でそれに反対する女性らのデモを見たことがきっかけでした。

 女性が所属する「かたばみ三橋俳句会」は毎月、会員が互選した句を三橋公民館の公民館だよりに掲載していました。14年7月には女性の句が掲載されるはずでしたが、公民館側は「世論を二分するようなテーマ」だとして掲載を拒否しました。

裁判に踏み切る
 当時、公民館の対応を清水勇人市長も「おおむね適切」と容認。公民館・市側は掲載を拒否し続け、女性は15年6月、裁判に踏み切りました。

 さいたま地裁が17年10月、東京高裁が18年5月、ともに原告側勝訴の判決を出しましたが、市側が上告したため、原告側も上告。最高裁は18年12月20日、双方の上告を棄却するとの決定を出し、市に慰謝料5000円の支払いを命じた二審東京高裁の判決が確定しました。

 裁判がたたかわれる中で、埼玉弁護士会も市に俳句掲載を求める勧告書を出し、日本社会教育学会など4団体も、俳句不掲載という「違法状態の解消を」とした見解を発表。俳人の故・金子兜太(とうた)さんもメッセージを寄せるなど、幅広い全国の人の支援が広がりました。

 作者の女性は「裁判をすることに迷いはありましたが、黙っていて、またこんなことが起きたら絶対に後悔する。弁護士さんや市民応援団の人たちが自分の問題として考えてくれ、応援してくれたことが力になりました。市は今回のことをしっかり反省した上で、俳句を掲載してほしい」と語ります。

 東京高裁の判決が確定したことについて、原告弁護団の久保田和志事務局長は「公民館という、おとなが学習する場所で、行政が『公平・中立』を理由に市民の活動を制限したことに対し、はっきりと違法だと言った。全国の集会や施設などでそういった動きがありますが、その流れを止めることができました」と指摘します。

 また、原告側・市側が昨年5月31日に上告し、最高裁がその数カ月後の12月に決定を出したことについて「早く民主的に解決するようにとのメッセージでは。それを受けて、市が速やかに俳句の掲載を発表したのは歓迎すべきことで、社会教育に対する最低限の理解はあったのではと思います」と話しました。

 裁判を支援する「九条俳句」市民応援団世話人の前島英男さん(65)は「署名やスタンディングなどの市民の運動が、市を追い詰めました。原告があきらめなかったからこそ、市民応援団は北海道から沖縄まで全国の1100人の会員と、学者や研究者とともにたたかってきました」と語ります。

話し合い解決を
 日本共産党さいたま市議団は、この問題の発覚後、ただちに市に申し入れを行い、シンポジウムも開催。議会では「思想・信条と表現の自由を守り、俳句の掲載を」と、繰り返し一般質問や委員会で取り上げてきました。裁判で市が控訴・上告する議案に対し、自民系会派や公明党などが賛成する中、「話し合いでの解決を」と反対した会派は共産党だけでした。

 もりや千津子市議(県議候補)は、市が作者の女性らの申し入れに対する回答書(18年12月28日)で、公民館だよりの「市民参画による編集の機会を設ける」としたことについて「私たちが求めてきたことです。きちんと取り組まれるように、引き続き求めていきます」と表明。「九条俳句不掲載は、安倍政権による憲法無視の政治の中で起きた問題。原告側勝訴の確定と俳句の掲載は、国や地方で起きている『忖度(そんたく)政治』に歯止めを掛けるものです。これは、市民の運動の力です」と語っています。

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