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サケ放流40年、皆さんに感謝して

2022年02月03日

Posted by kyutono9 at 20:12 │Comments( 0 )
サケ放流40年、皆さんに感謝して
        杉浦公昭
 入間川にサケを放す会は 1982 年以来サケを放し続け、今年40 年目を迎えました。今年は、地球温暖化の為か、サケの遡上が全国的に少なく、卵の入手が極めて困難で、今後、サケの放流は中止になるかと思われます。この間、お世話になった皆さんに感ます。
1960年以後の高度成長期に、公害反対の住民運動が全国で起きました。その様な時代の1974年10月と1988年4月、埼玉県民や東京都民1200万人の飲み水になる入間川へ70万人分の致死量に相当するシアン流出事故が起きました。
 その際、埼玉県にはシアンの常時監視測定機が設置されていたのに、警報は出されませんでした。しかし二度の事故は、魚の大量死を見た釣り人の役所への通報で、辛くも人々の命が守られました。
 この事実から、私は「河川に清流をとり戻し、魚たちが群れを成して泳ぐ時、私たちの命も守られる」との教訓を引き出し、特に飲
料水の河川への魚の放流を呼びかけました。
 他方、私は、東海林吉郎論文から、人々は川魚の死によって自らの命の危険を感じて河川浄化の行動に立ち上がり、大衆的な力を発
揮すると言う田中正造の「魚戦略」を学んでいました。   こうした中で、1981年春に自ら考案した循環濾過水槽で、サケのふ化・飼育と荒川への放流に成功していた勝山義弘氏と出会ったのが、この運動を始めるきっかけとなりました。
 サケ放流の目的
「サケが戻れるような、(自然ふ化する)きれいな川を取り戻そう!」をスローガンとして放流すれば、母川回帰の夢や「活ける河川」への憧れを呼覚まして河川浄化、自然保護の世論を高める一大住民運動を起すことができます。その上で、住民と共に汚染源対策を求めれば、河川に緑と清流をとり戻すことができます。生命の不思議さを学び、愛情をはぐくみ、離別の悲しさも味わっ
てもらう情操教育にも役立つなどと構想しました。
 飼育と放流法
 飼育は、田代氏の本と勝山氏の助言を基に開発した「観察箱を用いた飼育法」で行いました。放流は、市川健夫氏の利根川南限説が成り立たないことを確認し、荒川水系の入間川で一勢に放流しました。(市川健夫氏は、利根川より南の栗山川のサケ漁は取るに足らないと無視していましたが、栗山川漁業組合が、サケ回帰率0.1%で数千匹捕獲したによって利根川南限説は事実上打ち破られています)。
 以上見てきたようにサケ放流は、その目的がら、現代社会の抱えている問題である河川浄化、自然保護の世論喚起、緑と清流を取り戻す住民運動に貢献しています。   その外、以下のように様々に現代社会に役立ってます。
 サケ放流が取り持つ国際親
1982年10月15~17日北海道北方圏センターにサケ放流の14 河川代表とカナダ、イギリス、アメリカ代表が集まり、日本サケ会
議が開かれ、国際親善に役立ちました。
 サケ放流の歌が被害住民を激励
数年前、私の勤めていた東洋大学工学部応用化学科の職場友だちの又重英一さんが、サケ放流運動応援の為作った「サケの赤ちゃん」の歌を、岩手県の三陸に在る普代村から使用許可願いがあり、正午の時報を知らせるチャイムに使われいました。ところが、2011年3月の東北大震災で普代村が襲われた際、普代村のチャイムは壊れず残り、被害住民を励まし続けることになりました。
 サケ放流が、人間性回復に!
犬も猫も嫌われる団地住まいの鍵っ子らは、自らの心の淋しさを金魚鉢でのサケの飼育によって和ませています。
児童に「挨拶」を教える先生は、家に父母が居ないので、サケに、おはよう、行ってきます、只今、お休みなさい、と声をかけ
る指導をしています。
 また、登校拒否の児童が、サケの飼い方を友達に聞きたいので登
校し、先生や父母を驚かせ、喜ばれました。
 さらにサケを放す会に、雷族の青年がきて、「俺にもサケを飼わせろ」とサケの卵を求めました。彼らも騒音で嫌われるより、好かれ
ることで自己顕示欲を満足したいと思ったようです。
こうしたことに見られるように、サケの放流は、現代の社会が抱える一大問題の子供たちの人間性回復に役立っています。
 サケを放す会が埼玉県から評価される!
 入間川にサケを放す会は、日頃からコミニティ活動の一環として、河川浄化と自然保護の世論を喚起し、地域住民の命が守られる社会を実現するために、積極的に実践活動を展開してきたとして埼玉県から「シラコバト賞」を受けました。
 サケ放流が地球環境の救済!
 もともと「河川浄化と自然保護の世論をあげ、人々の飲み水(命)を守ること」を目指した取り組みでしたが、子どもたちにサケを育ててもらっていたら、自然と親しみ、自然から学び、命を大切にする子どもたちが育ってきたのは、大きな驚きであり、この上ない喜びです。命の尊さを深く学んだ子どもたちこそ、地球環境の危機を救ってくれると期待されるからです。 (希望を持って)
サケ放流40年、皆さんに感謝して




 
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