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3月11日伊藤 千尋さんのFacebook投稿記事より

2022年03月11日

Posted by kyutono9 at 17:47 │Comments( 0 )

3月11日伊藤 千尋さんのFacebook投稿記事より

 杉浦公昭

本日、Facebookで又、伊藤千尋さんの投稿記事を見つけました。

参考の為、お送り致します。時間が許したらご覧ください。

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伊藤 千尋

311日 17時間前 · 

今、ウクライナはどうなっているのか?

 ここ数日、ロシア側とウクライナ側の専門家にそれぞれ直に取材し、さまざまな論文を読みました。先にバルト3国の例を挙げましたが、その後半をお話しする前に、ウクライナをめぐる今の戦況について解説します。

 まずロシアの思惑です。プーチンはウクライナがロシアのものだと思い込んでいます。そのウクライナを西欧にそそのかされたネオナチの政権がのっとってしまった。だからロシアの手に取り返そう、という発想です。ちなみにプーチンはナチスと関係がなくても反ロシアの人をネオナチと呼んでいます。

 そこから出てきたのが、ロシア軍が出動すればウクライナの人々はもろ手を挙げて歓迎し、ゼレンスキー政権は2日もあれば降伏するという見通しでした。だから攻め方がずさんだったのです。本来なら空爆でレーダーサイトだけでなく軍事施設、飛行場を完全にたたき制空権を確保してから地上軍を投入するのがセオリーですが、その前に地上軍を入れてしまった。しかも軍事常識は一点突破なのに、あちこちに分散しました。

 ロシア軍の兵力は92万人、ウクライナ軍は20万弱。力の差は明らかです。それにロシア国境から首都キエフまで90キロ、主要都市ハリコフまでならわずか30キロです。それが2週間たっても攻略できない。

 ロシア軍は総兵力では多いけれど、国土が広いので分散しています。旧ソ連の後継で核兵器も大量に持ち、いかにも強そうだけど、兵力は世界で5位です。陸軍としてこの一帯で動かせるのは36万しかいません。これは韓国陸軍より少ないのです。しかも、今回、投入したのは15~17万です。

 これに対してウクライナ軍は19万6千人いて、うち地上兵力は15万です。侵攻したロシア軍とそんなに変わりはありません。しかも総動員令によって予備役や一般市民も入ります。兵士の数としてはウクライナの方が多いくらい。それに祖国防衛という大義があり、地の利もあります。だから2日どころか2週間も持ちこたえているのです。

 ロシアの戦車が一列で立ち往生している画像が話題になりました。命令系統の混乱や兵站の不備などが言われ、実情は不明です。ただ、ウクライナの土壌は黒土で、戦車が通るとめり込んでしまいます。第2次世界大戦の独ソ戦でも、これでナチスの戦車が立ち往生しました。つまりちゃんとした舗装道路しか通れないのです。だから一列になるのです。点と線しか制圧できない。

 これではいかんとハッパをかけにきたロシアの司令官はウクライナ軍の狙撃手に撃たれて死亡しました。面を制圧できないから、ウクライナの狙撃手が近寄れるのです。とはいえせっかく一列に並んでいるのだからウクライナは対戦車砲でも撃ち込めば良さげなものですが、そこまでやる能力はウクライナ側にない。だから膠着しているのです。

 しかし、ロシア軍は態勢を立て直しています。これから懸念されるのは民間人もかまわず標的にする無差別殺戮です。避難民を逃がしているのも、民間人はもうすべて出てしまったはずだ、という口実にするのでしょう。そうなると今をはるかに上回る相当な犠牲者が出るし、大きな破壊が進みます。考えたくないことです。

 たとえキエフが落ちてもウクライナの政権は西部に移り、あるいは国境を越えてポーランド側に行き、ゲリラ戦をやって抵抗するでしょう。第2次大戦のときも侵入したナチスに対してパルチザンを結成しゲリラ戦を展開しました。ウクライナの面積は日本の1.6倍です。ロシアは一時的に大都市を制圧しても、全ウクライナを長期には支配することはできません。

 そのうちにロシアに経済制裁の効果が出てきます。生活が危うくなったら、さすがにロシア人も声を上げるでしょう。また「ウクライナ人もロシア人と言ったじゃないか。ロシア人をなぜ殺すのか」という疑問が出るでしょう。強力な報道管制をしていますが、それをしなくてはならないところに弱みが透けて見えます。すでにプーチンを支えてきた大物実業家たちが戦争の停止を主張しています。プーチンは焦っています。

 これが大まかな現状です。その後に考えられるのは仲介(可能性があるのはトルコだけ)による休戦ですが、まだ先です。これも考えたくないことですが、最悪のシナリオとして限定的な核兵器の使用がささやかれています。

 核と言えばロシア軍が原子力発電所を抑えました。これは、ウクライナがロシアに対抗するため核兵器をつくっているというプーチンの主張を裏付けるためです。ウクライナがそんなことをしていないのは国際原子力機関(IAEA)の査察で明らかですが、プーチンは「核兵器製造の証拠を押さえた」と国内で勝手に宣伝しています。なにも原発を爆発させるという意図はないようです。ただ、上記のようなロシア軍ですからね・・・ずさんな扱いをしなければいいのですが、そこが心配です。

 このような中できわめて多くの市民が戦闘で亡くなり、負傷し、あるいは家を失い、食べ物もなく路頭に逃げまどっているのです。病院も爆撃され、子どもも殺されています。一日も早く目の前の戦闘を終わらせることが肝心です。デモをすれば逮捕されるロシアの市民には、それができません。ならば声を上げられる人々が地球の様々な場所で声を上げることです。それが私たちの今現在の役割だと思います。

 画像はウクライナ南部のオデッサ郊外にある、第2次大戦中の対独パルチザンの記念碑です。10年前に訪れたさいの撮影です。


3月11日伊藤 千尋さんのFacebook投稿記事より




 
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